2030年に原発稼働ゼロなんて一言も言ってないよね?

2012/09/16


本当は政治の話題なんて
したくもないのだけれど…

いわいる“普通の感覚”を持っている人たちが
どれだけ簡単にだまされてしまうかの、
見本のような話題なのでちょっと取りあげてみたい。

先の政府会議で決定された「革新的エネルギー・環境戦略(2012/9/14)」では
「2030年代に原発稼働ゼロを可能とするよう、あらゆる政策資源を投入する」とされている。

これを普通に読むと、
「2030年には原発の稼働を0にするのか」と読めてしまえるらしいのだが、
私にはまったくその意味は伝わってこない。

むしろ全く逆である。

つまり「2030年代までに原発ゼロを可能とするように努力する」ということは、
少なくとも2039年までは“全く何の問題もなく”原発を推進できる。

そして2039年以降は“原発を全廃しても大丈夫な技術が確立”さえしていれば、
実際に原発を止めるかどうかには全く関係がないということになる。

むしろそこに気付いているマスコミがただの一社もない
ことのほうに疑問すら感じてしまうのだ。
(マスコミはただの広報だからという意見はとりあえず無視で)

つまりその技術(原発なしでも発電OKな技術)が確立したからといって、
「原発をやめてしまいます」とはこの文章には一言も書かれていないのである。

どうせその日になったらこう言うにきまってる。
曰く「技術は確立しましたが、原発に比べてコストがかかりすぎるので
とても実用には使えません。なので原発継続です…」
とね。

これ自体が全く嘘八百のデタラメなんだけどね。
信じられなかったら各自調べてみてほしい。

原発が最も高コストで効率が低く、他の発電のほうがいいてことを。
環境悪化(主に天候面)の原因が二酸化炭素ではないってことも。
さらには原発で二酸化炭素排出が抑制されていないってことも。

マスコミの言うことを何でも信じる人には無理でしょうな。
自分で調べるってこと自体が…

しかもこの政策はあくまで努力目標なのであるから、
「一生懸命やりましたが駄目でした」でもいいのである。

結果として、原発問題は単に先送りしただけの
目くらましの官僚作文でしかないとしか読めない。

この程度の浅知恵で国民をだませると考えている官僚って一体…

【参照元ニュース】日本経済新聞=http://www.nikkei.com/article/DGXNASFL140KI_U2A910C1000000/

政府は14日午後、首相官邸でエネルギー・環境会議(議長・古川元久国家戦略相)を開き、中長期の原子力発電への依存度を示した「革新的エネルギー・環境戦略」を決定した。「2030年代に原発稼働ゼロを可能とするよう、あらゆる政策資源を投入する」と明記し、脱原発に向けた方向性を示した。

戦略では「原発に依存しない社会の一日も早い実現」を掲げ、(1)原発の40年運転制限の厳格適用、(2)原子力規制委員会の安全確認を得た原発だけを再稼働、(3)原発の新設や増設は認めない――の3つを原則とした民主党の提言を踏まえた。

一方で、「30年代の原発ゼロ」は努力目標の意味合いが強い。国際エネルギー情勢や技術開発の進展などについて「将来にわたって正確に見通すことは極めて困難」と指摘し、グリーンエネルギーの普及度合いや国際情勢によって見直す姿勢を示した。

代替エネルギーの柱となる再生可能エネルギーについては発電量を30年まで10年比で3倍に増やす目標を掲げたほか、エネルギー供給の安定に向けて「当面は火力発電の重要性が高まる」と指摘し、液化天然ガス(LNG)や石炭の使用を重視した。

化石燃料の使用が増えるため、20年時点の温暖化ガスを90年比で25%削減するとの国際目標は事実上撤回。30年時点で2割削減を新たな目標とし、年末までに「地球温暖化対策の計画」を策定して国際社会に理解を求める。

核燃料サイクル政策について、政策転換に反発していた青森県に配慮し、国が責任を持つ方針を明記した。また「国が関連自治体や電力消費地域と協議する場」を設置した上で使用済み核燃料の直接処分や最終処分場の確保に向けた議論を始める。

「原発ゼロ」に反対する米国などの諸外国の理解を得るために「緊密に協議し、連携して進める」と強調した。また電力システム改革についても触れ、年末までに「電力システム改革戦略(仮称)」をまとめて促進を図る。〔日経QUICKニュース(NQN)〕


今回に限ったことではないのだが、法律関係の文章(というか官僚が書いた文章)は
常にどうとでも読めるように書くのが通例なのだ。

この場合マスコミ各社は「民主党は本気で原発をゼロにする気だ」として

15日の枝野幸男経済産業相がJパワーの大間原子力発電所(青森県大間町)と、
中国電力の島根原発3号機(松江市)の建設継続を容認に対し、

「政府の方針と整合性が取れない」だとか、
「原発ゼロの方針に早くもほころびか」
などと書きたてているが、

これは全く矛盾も何もしていないのである。

なにしろ2039年まではいくらでも原発を推進していいのだから、
当然建設にはGoサインなのだ。

一般的な意見としての
2030年代までに原発ゼロを目指すなら今から原発をやめていかなければだめだろう。とか
原発やめますは嘘だったのかなんて意見は、
全く物事の表面しか見ていない人の意見だ。

最初の文章をもいう一度ちゃんと読んでみてほしい。

別に嘘もついてないし、全く矛盾も生じていない。
原発やめますとは一言も言ってないのだ。

「原発をやめても大丈夫なような技術の確立を目指す」
のであってやめるのではない。

「あらゆる政策資源を投入」というのも、
“国家の全精力を傾けて”取り組むわけではなく、
そこに投入できるリソースがあれば投入するという意味だ。

じゃあ仮に、投入するリソースが国力の0.001%しかなかったらどうなのか?
全く問題ない。

“あらゆる政策資源”なのだから
あらゆるの中には劣化リソースも含まれている。
別に全リソースを割くとは一言も言ってないのである。

このような文章はどうにでも読めてしまえるので、
官僚作文など全くあてにならないのだ。

もし本当に原発ゼロにします。っていうならこう書けばよい。

「政府はあらゆる政策資源を投入し2030年代中に原発稼働をゼロにする」
これなら本来の意味以外に読みようがないのである。

オトーサンもうそろそろ目を覚ますときですよ。


伏木彰


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