米国議会の調査により、ファウチ博士がコビド19実験室流出説の反証を試みるため、科学者たちに論文を捏造するよう「促した」ことが判明した。

2023-03-12

naturalnews.comより

アンソニー・ファウチ博士が、中国の武漢で禁止された機能獲得型コロナウイルス工学のオフショア化について議会に直接嘘をついたとき、この話には必ず続きがあるはずだったのです。今、新しい議会の調査で、アンソニー・ファウチ博士が、2020年2月に、コビッド19実験室流出説を迅速に「反証」するために、主要科学者に科学論文「SARS-CoV-2の近接起源」を捏造するよう「促」したことが判明しました。議会の調査では、(ファウチ主導の電話会議に召喚された)論文の著者が、ラボリーク調査を「反証」するために「利用可能な証拠を歪曲」したことが判明しています。隠蔽工作に重要な役割を果たした人物の一人に、世界保健機関(WHO)の主任科学者であるジェレミー・ファーラー博士が含まれていました。

Fauci、Collins、Farrarは、SARS-CoV-2の実験室由来の可能性に関する調査を中止させるために共謀した。

米国アレルギー感染症研究所(NIAID)所長のアンソニー・ファウチ博士、WHOの主任科学者ジェレミー・ファラー博士、米国国立衛生研究所(NIH)所長のフランシス・コリンズ博士は、2020年2月1日に他の11人の科学者と緊急テレビ会議を開催しました。この電話会議の参加者5名は、SARS-CoV-2が意図的に遺伝子操作されたコロナウイルス株から実験室に流出した結果であるという重大な懸念を抱いていました。これらの懸念する科学者には、Scripps Researchのウイルス学者Kristian Andersen、シドニー大学のウイルス学者Edward Holmes、Tulane School of Medicineのウイルス学者Robert Garry、エディンバラ大学のウイルス学者Andrew Rambaut、コロンビア大学のウイルス学者Ian Lipkinが含まれていました。これらの科学者たちは、最初のラボリークに関する懸念を公表しませんでしたが、後にプライベートな電子メールの会話で明らかにされました。

その代わり、科学者たちはファウチ博士、コリンズ、ファーラーの3人が主導する緊急電話会議に呼ばれた。電話会議の後、彼らの科学的関心と研究は停止させられた。会議の直後から、関係するすべての科学者が態度を変え始め、新たなシナリオのもとに集結していった。電話会議の後、科学者たちは、ファウチが実験室漏洩説を「論破」するために使った論文「The Proximal Origin of SARS-CoV-2」をすぐに作成しました。

「我々は、どのようなタイプの実験室ベースのシナリオももっともらしいとは考えていない」と、その論文は結論付けている。この研究論文は、コビド19がパンゴリンからヒトに渡った天然ウイルスであるという説を広めるために利用されました。特定できる自然な動物の感染源がないにもかかわらず、この説は科学的コンセンサスを促進するために使われ、このテーマに関するすべての議論は、企業メディアとビッグテックによって検閲されました。実際、メディアはこの論文を2,000回以上引用しています。この物語に反対意見を述べる者は、「陰謀論者」と揶揄された。不思議なことに、ファウチのシナリオとSARS-CoV-2の起源に関する露骨な隠蔽に従った後、アンダーソン博士とギャリー博士は、NIHから新たに数百万ドルの助成を受けることになる。

ファウチには、武漢ウイルス研究所と彼が資金を提供したコロナウイルス工学を調査する倫理的、国家安全保障的義務があったのである。エコヘルスアライアンスを通じてピーター・ダザック博士と一緒にこれらの助成金を承認し、監督したのはファウチでした。コロナウイルスの感染性と致死性を高める複数の研究に参加したのもファウチだった。ファウチの「促し」によって主要な科学者たちが調査を打ち切ったことは、深刻な隠蔽工作の臭いがする。この隠蔽工作は、最終的に人類に対する複数の犯罪につながった。

アンダーセン博士の私的通信から、ファウチらの汚職と隠蔽の新たな証拠が明らかになる

監視改革委員会は、アンダーセン博士にProximal Originsの論文と、その後押し付けられたシナリオについて迫りました。Scripps社は当時のランキングメンバーJames Comer氏と司法委員会のランキングメンバーJim Jordan氏に回答した。Scripps社は、Andersen博士がAnthony Fauci博士の影響を受けていないことを主張した。

Scripps社によると、アンダーセン博士はSARS-CoV02の起源を調査するために「客観的に」働いていた。2021年8月18日、Scrippsはアンダーセン博士に代わって次のように書いています。"どの時点でも、アンダーセン博士は利用可能なすべての証拠を客観的に評価しています。アンダーセン博士の見解は、今回処分された証拠と一致しています。科学者は、初期の評価と矛盾する場合でも、利用できる証拠によって結論を裏付けるようにしなければなりません"。

しかし、アンダーセンの私的なコミュニケーションは、彼が "すべての証拠を客観的に秤にかけていなかった "ことを明らかにしています。2020年2月8日の電子メールで、アンダーセン博士は、"ここ数週間の主な仕事は、あらゆるタイプのラボ理論を反証しようとすることに集中しています... "と認めています。議会の調査では、"アンダーセン博士は指示を受け、ラボのリークを反証する利用可能な証拠に関係なく、論文を策定するよう努めた "とされています。

実際、アンダーセン博士は2020年2月12日にネイチャー誌に、後にThe Proximal Origins of SARS-CoV-2になるものの出版を依頼する手紙を出しています。" 彼は、「この空間では、多くの憶測、恐怖を煽ること、陰謀が提唱されており、この議論を明確にすることが、Nature [sic] の興味を引くのではないかと考えた」と書いている。ジェレミー・ファラー[sic]、トニー・ファウチ、フランシス・コリンズに促され、エディ・ホームズ、アンドリュー・ランボー、ボブ・ギャリー、イアン・リプキン、そして私が、(主に)遺伝子データの多くを通して、ウイルスの起源をめぐる不可知で科学的な情報に基づいた仮説を提供してきました[that] 。

アンデルセンのNatureへの手紙は、コビッド19が最初から計画されたテロとマネーロンダリングの作戦であったこと、つまり慎重に作られた物語、強要、医学的・科学的不正の作戦であることを示すさらなる証拠に過ぎません。


https://www.naturalnews.com/2023-03-07-congress-fauci-guilty-supressing-investigation-covid-origins.html

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■レア・アース  2023-03-16  106.146.71.246
コメントID:687

ネオコンサバティブとNATO
「こんなにうまくプーチンが引っかかるとは」ウクライナ戦争をアメリカが引き起こしたといえる残念な証拠」の

東郷 和彦,中島 岳志の発表

11/9(水) 09:00

ロシアのウクライナ侵攻を止めるにはどうすればいいのか。元外交官の東郷和彦さんは「米国のバイデン大統領のように『自分が100%正しい』という外交姿勢では、プーチン大統領を止めることはできない」と指摘する。政治学者の中島岳志さんとの対談をお届けする――。

※本稿は、東郷和彦『プーチンvs.バイデン ウクライナ戦争の危機 手遅れになる前に』(K&Kプレス)の対談「ウクライナ戦争と大東亜戦争」を再編集したものです。


戦争終結にこぎ着けた日本の経験が役立つはずだ

【東郷和彦】ウクライナをめぐる状況は深刻です。アメリカをはじめ西側諸国はウクライナを支援し、彼らに武器を提供してきましたが、それはむしろ戦争を長引かせ、事態を悪化させるだけです。このままでは想像もできない惨禍がもたらされる恐れがあります。いま必要なのは武器の提供よりも停戦交渉です。私たちは一刻も早く停戦を実現する必要があります。

その際に参考になるのが、日本の経験です。かつて日本はいわゆる大東亜戦争に突入し、多くの犠牲者を出しましたが、様々な人たちの努力によって戦争終結にこぎ着けました。この歴史から学べることは多いはずです。日本思想に詳しい中島さんとの対談を通じて、こうした問題を議論していければと思っています。

まず、最近欧米で行われている議論を振り返っておきたいと思います。欧米は一貫してウクライナ支援を訴えてきましたが、わずかではありますが、次第に停戦を求める動きが見られるようになっています。

たとえば、五月一九日のニューヨーク・タイムズの社説は、「ウクライナが決定的な軍事的勝利を収めるという目標は、現実的ではない」「非現実的な期待をすれば、アメリカやNATOはお金がかかってダラダラ続く戦争にさらに深く引きずり込まれることになる」と批判しました。

勝利よりも終戦を呼びかける声が増えている

【東郷】また、五月二三日にはアメリカのキッシンジャー元国務長官がダボス会議にリモートで参加し、ウクライナはクリミアの現状を受け入れ、ウクライナ東部のドネツク州、ルガンスク州のロシア人居住区で自治権を認めるべきだといった趣旨の発言をしました。

これに対して、ウクライナのゼレンスキー大統領は激怒します。彼はニューヨーク・タイムズとキッシンジャーを名指しで批判し、激しく罵りました。

こうした事態を受けて、今度はアメリカのバイデン大統領が五月三一日にニューヨーク・タイムズに寄稿します。彼は「アメリカはプーチン氏の追放を模索していない」「ロシアに痛みを与えるためだけに戦争を長引かせることはない」とする一方、「ウクライナを強くするために引き続き対処する」と述べました。

これは結局、ウクライナに武器を提供し続けるということですが、これまでと違ってプーチンを刺激しないように慎重ないい方をするようになっています。

また、アメリカのノーム・チョムスキーはプーチンに「手土産」をあげても戦争をやめるべきだといっていますし、フランスのエマニュエル・トッドは「この戦争は簡単に避けることができた」としつつ、フランスやドイツは戦争から抜けるべきだといっています。こうした声は傍流の域を出ないとはいえ、注目に値します。

アメリカの価値観を押しつけても反発するに決まっている

【中島岳志】この戦争がどのような結末を迎えるかは、アメリカの動きに左右されます。そこで、バイデンがどういう人物かを理解することが非常に重要になると思います。

東郷さんが必読書とおっしゃるバイデンの自伝『約束してくれないか、父さん』を私も熟読しました。彼はオバマ政権の副大統領時代にプーチンと会談し、「あなたには、心というものがない」などと述べ、プーチンを面罵しています。アメリカの価値観からすれば、プーチンのような専制主義的な人間はどうしても受け入れられないということなのでしょう。

確かにアメリカの掲げる自由や民主主義は重要ですし、ロシアの体制に問題があることも事実です。しかし、アメリカの価値観を無理やりロシアに押しつけるべきではありません。そんなことをすればロシアは反発するに決まっています。

オバマ政権も最初のころは自分たちの価値観を他の国に強要することは控えていたと思います。その典型が対中政策です。オバマ大統領は中国を批判しつつも、彼らとの結びつきを強め、包摂していくことで、中国をソフトランディングさせる方法を模索していました。

ところが、時間がたつにつれてオバマ政権は変容していき、アメリカの価値観を絶対視するようになりました。その結果、政権末期には中国ともロシアとも真正面から対立するようになってしまったのです。

アメリカはかつてのソ連と同じことをしている

【中島】私がウクライナ戦争に関して的確な分析をしていると思ったのは、シカゴ大学のジョン・ミアシャイマーです。彼はウクライナ戦争の原因はNATOの東方拡大にあると述べ、オバマ政権時代にこの動きを進めたのは副大統領だったバイデンだと指摘しています。

ミアシャイマーによれば、バイデンは「リベラル覇権主義」の中心人物です。リベラル覇権主義とは、アメリカの対テロ戦争を支えた思想で、アメリカ流の民主主義を世界に波及させることを目的としています。要するにネオコンです。アメリカはこの考え方に基づいてイラク戦争を引き起こしましたが、彼らの試みは結局失敗に終わりました。しかし、この思想はその後もしぶとく生き残り、ウクライナ戦争を招いたというのがミアシャイマーの見立てです。

また、ミアシャイマーは、アメリカはキューバ危機を想起すべきだと指摘しています。一九六二年、ソ連がキューバにミサイル基地を建設していることが判明すると、アメリカは猛反発し、核戦争寸前まで緊張が高まりました。ミアシャイマーは、アメリカがウクライナでやってきたことは、ソ連がキューバでやったことと同じだといっています。

外務大臣だった祖父はどうやって戦争を回避しようとしたか

【中島】そこで東郷さんにうかがいたいのは、日米戦争開戦時に外務大臣を務めた、東郷さんのお祖父さまである東郷茂徳のことです。東郷茂徳は最後まで日米戦争を回避しようと努力していましたが、アメリカからハルノートを突きつけられ、開戦やむなしという判断に至りました。

ウクライナ戦争と日米戦争は時代も条件も異なるので、簡単に比較することはできません。しかし、この間の米ロのやり取りを見ていると、私はどうしてもハルノートのことが頭に浮かびます。東郷茂徳とプーチンの心境には、どこか通じるところがあるのではないでしょうか。

【東郷】私も当時の日本と現在のロシアには重なる部分があると思っています。茂徳の娘である私の母から、ハルノートを突きつけられた日の夜、茂徳が別人のように落胆していたという話を何回も聞かされました。

茂徳の手記『時代の一面』に基づいて当時のことを振り返ると、茂徳はアメリカとの戦争を回避すべく対米交渉に臨み、「甲案」と「乙案」をまとめました。

甲案は中国から軍を引き上げると明記したことがポイントです。軍部は当初、九九年駐留したのちに引き上げると主張していましたが、茂徳が粘り強く説得し、最終的に駐留期間を二五年まで短縮させました。

日本の精一杯の譲歩を打ち砕いた「ハルノート」

【東郷】しかし、アメリカが甲案を受け入れないのは明らかでした。そこで、茂徳は乙案を取りまとめます。

乙案のポイントは、南部仏印から撤兵することと引き換えに、対日石油禁輸措置の解除を求めたことです。一九四一年七月に日本軍が南部仏印に進駐したことで、アメリカは石油禁輸に踏み切り、日米関係は急速に悪化しました。これを以前の状態に戻そうとしたわけです。

アメリカも乙案に前向きな姿勢を見せていました。そこで、茂徳は期待感を持って交渉を進めていたところ、突然アメリカからハルノートが提示されたのです。

ハルノートでは、日本軍が中国やインドシナから完全撤退することや、当時日本が承認していた汪兆銘政権の否認、三国同盟の無効化など、アメリカが一〇〇%日本に勝利することを目的とする内容でした。甲案や乙案をつくり、精一杯の譲歩をしたあとにこれほど厳しい要求がなされたわけですから、日本側がこれを最後通牒と受け止めたのは当然だと思います。



写真=iStock.com/bruev※写真はイメージです - 写真=iStock.com/bruev

プーチンの主張を無視してきたのはバイデンのほう

【東郷】プーチンもきっと同じような受け止めだったのだろうと思います。プーチンが一貫して主張してきたのは、ウクライナのNATO加盟は許容できないということと、ウクライナ東部のロシア系ウクライナ人を保護してほしいということです。それと同時に、プーチンは戦争を回避すべく、昨年一二月にアメリカとNATOに条約草案を示し、交渉を呼びかけています。

ところが、バイデンやゼレンスキーはロシアのいい分に一切耳を傾けようとしませんでした。これがプーチンが戦争を決断する一因になったことは否定できないと思います。

【中島】私は以前、東京裁判でA級戦犯は無罪だとする判決書を書いたインドのパール判事のことを調べ、『パール判事』という本を書きました。パール判決書はしばしば誤解されていますが、日本が何の罪も犯していないとは書いていません。パールは南京虐殺をはじめとする日本軍の虐殺行為を事実と認定し、厳しく非難しています。しかし、事後法によって被告を裁くことはできないとして、A級戦犯は法的には無罪だと判断したのです。

パールはハルノートにも注目しています。ハルノートのようなものを突きつけられれば、どんな国でも立ち上がっただろうとして、日本を追いつめたアメリカを非難しています。

もちろんパールは、だから日本には責任がないとはいっていません。日米開戦は日米双方に責任があり、日米は同罪だといっているのです。

「こんなにうまくプーチンが引っかかるとは」

【中島】これは今回のウクライナ戦争にもいえることだと思います。プーチンには大きな責任がありますが、アメリカがロシアを追い込んだことも確かです。東郷さんもパールと同じ見方をしているのではないでしょうか。

【東郷】おっしゃる通りです。ロシアのやったことは決して許されることではありません。厳しく批判されて当然です。その一方で、アメリカがロシアを戦争に踏み切らせたという側面も見落としてはなりません。

最近私は確度の高い情報として、ネオコンとして有名なアメリカのビクトリア・ヌーランド国務次官が「こんなにうまくプーチンが引っかかるとは思っていなかった。これでプーチンを弱体化できる」という趣旨のことをいっていたという話を聞きました。

ヌーランドはオバマ政権時代には国務次官補を務め、当時のバイデン副大統領のもとでウクライナの親ロ派政権を転覆したマイダン革命に関わっています。そのころ彼女がウクライナ側とやり取りしている音声データも流出しています。

ウクライナの反ロ感情とネオコンの思惑が合致してしまった

【東郷】近年、ウクライナではヨーロッパと強い親和性を持ち、強烈なウクライナ愛国主義を掲げるグループが台頭しています。彼らは第二次世界大戦でナチスと協力し、ソ連と戦ったステパン・バンデラというウクライナの民族主義者を信奉しており、強い反ロ感情を持っています。

彼らにとって、バイデンやヌーランドのようにアメリカを絶対善と考え、ロシアを絶対悪と見なす人たちがアメリカ政府の中枢を占めるようになったことは幸運だったと思います。こうしてウクライナの反ロ感情とネオコンの思惑が見事に合致してしまったのです。

【中島】バイデンの態度はあまりにも頑なです。自分が一〇〇%正しく、プーチンが一〇〇%間違っていると考えているのでしょう。




自分が絶対に正しいという姿勢は、フランス革命に通じるところがあります。フランス革命を主導した人たちは、理性は無謬であると考え、人間の理性によって完璧な世界をつくることができると信じていました。

これを厳しく批判したのが、保守思想の祖とされるイギリスのエドマンド・バークです。バークは人間の理性に対して懐疑的な眼差しを持っていました。人間は道徳的にも能力的にも不完全な存在です。どんなに頭のいい人でも間違えたり誤認したりします。人間が完璧な世の中をつくることなど不可能です。

「自分が100%正しい」という政治思想は破滅を産む

【中島】保守はこの懐疑の念を自分自身にも向けます。自分もまた間違えやすい人間だとするなら、自分と異なる意見を持った他者の話にも耳を傾けてみようということになる。そして、他者の話に理があれば、そこで合意形成をしていく。自己に対する懐疑が他者への寛容につながるのです。

極端で偏った考え方は、必ずフランス革命のような結果をもたらします。バイデンが現在のような対ロ政策を続けていれば、ウクライナはこれまで以上に悲惨な状況に陥る恐れがあります。

今回の戦争で私が本当にショックだったのは、私と同世代から少し上で、個人的にもよく知っている日本の国際政治学者たちが、バイデン政権の主張をオウム返しのように述べ続けていることです。彼らはアメリカの責任を指摘している人を見つけようものなら、「ロシアを擁護するつもりか」などとバッシングを浴びせています。完全にネオコンの論理にとらわれてしまっています。

ロシアを批判する日本の保守派は矛盾していないか

【中島】また、日本の国際政治学者の中には、ウクライナ戦争がアメリカとロシアの「代理戦争」であると指摘すると、強く反発する人たちもいます。彼らがいうには、この戦争はロシアから一方的に侵攻されたウクライナが反撃を試み、アメリカがそれを支援しているだけで、米ロの代理戦争という見方はウクライナの主体性を無視している、ということになるようです。

しかし、ミアシャイマーが指摘するように、この戦争はNATOの東方拡大を抜きには語れません。むしろアメリカというファクターを無視する方が非現実的です。

もう一つ付け加えると、日本のいわゆる保守派の多くは、ロシアを批判し、ウクライナを応援していますが、ここにもねじれがあります。というのも、彼らはその一方で、日米戦争の開戦プロセスはアメリカに非があり、日本にも正義があったと主張しているからです。そうであれば、プーチンがなぜ戦争に踏み切ったのかにも目を向けるべきです。日米戦争を肯定しつつ、プーチンのいい分を全否定するのは矛盾といわざるをえません。

【東郷】最近、日本の若手の学者の方々はよくテレビに出演されていますね。みんな優れた知性の持ち主で、私も彼らの話を聞いて大変勉強になっています。

しかし、中島さんがご指摘されたように、彼らはネオコンの論理にとらわれ、ネオコンのルソフォビア(ロシア嫌悪症)すらそのまま受け入れているように見えます。とにかくプーチンを打倒することしか考えていないのではないでしょうか。

「プーチン打倒」だけではウクライナの人々を救えない

【東郷】しかし、そうした考え方をしている限り、戦争は終わりません。彼らのウクライナを助けたいという気持ちに嘘偽りはないと思いますが、それは結果としてさらに多くの犠牲を生み出すと思います。

【中島】現在の日本政府もアメリカ一辺倒で、ネオコンと同じような対応をとっています。岸田政権はこれまでの方針を転換し、対ロ強硬路線に舵を切りました。ここまで特定の国との関係をバッサリ切り捨てた例はほとんどないと思います。

【東郷】そうですね。日本の外交史に残る出来事だと思います。通常、こういうときは外務省から反対意見があがるものです。実際、他の国ではそういう動きが見られます。六月八日のニューヨーク・タイムズには、アメリカの諜報(ちょうほう)機関がウクライナ側から軍事戦略や戦況について十分な情報提供がなされていないことに不満を持っているという記事が掲載されています。これは明らかに政権内からのリークです。バイデン政権の中に対ロ強硬路線を続けることに疑問を持つ人がいるということです。

ところが、日本ではこうした動きはまったく見られません。大変残念ですが、いまの外務省はとにかくバイデンの方針に従うことしか考えていないように見えます。

日本の外交は取り返しのつかないことをしている

【東郷】もう一つ重大な問題は、バイデン政権の対ロ政策が結果的に中国の台頭を招いているということです。アメリカはロシアに多くの力を割くようになったことで、中国にプレッシャーをかける余裕がなくなりました。それによって中国はフリーハンドを手にし、アメリカとの関係において立場を強めています。また、ロシアが中国を全面的に頼るようになったことも大きいと思います。中国は何もしていないのに、漁夫の利を得たのです。

これは日本にとっても深刻な問題です。日本は台頭する中国とどう対峙(たいじ)すべきなのか。

まず何よりも重要なのは「抑止と対話」です。日米同盟を強化するとともに防衛力を高めつつ、中国との対話を重ねていく必要があります。

それと同時に、日本外交が主戦場とすべき北東アジアでできるだけ味方を増やす、少なくとも敵をつくらないことが大切です。その対象となる国はロシアと韓国しかありません。

しかし、ロシアはウクライナ戦争の結果、日本を非友好国ないし敵対国と位置づける可能性があります。また、日本は韓国と安全保障上の利益を共有しているといっていますが、植民地問題に関して和解へと動き出す様子はありません。日本は大切にすべき二つの国に対して、取り返しのつかないことをしているのではないでしょうか。

今こそインド外交に学ぶべき

【中島】私は政治家の大平正芳を尊敬しているのですが、大平は総理時代、「環太平洋連帯構想」を提唱しました。これは米中のどちらか一方を選ぶのではなく、米中の間の均衡点を見極めつつ、環太平洋という枠組みの中で中国をソフトランディングさせていくという考え方です。

この背景には、大平が重視した「楕円(だえん)」の思想があります。楕円形のように二つの中心があり、それらが均衡を保ちつつ緊張した関係を維持していれば、一つの正義を盲目的に信じることはなくなります。これによって無謬性にとらわれることを回避しているわけです。これはまさに保守思想のエッセンスです。

私は現在のロシアや中国に対しても、こうした姿勢で臨むべきだと考えています。アメリカとの関係を大切にしつつ、中国やロシアともしっかり付き合い、彼らの覇権主義の牙を抜いていく。これは理想論ではありません。実際にインドがそうした外交を行っています。彼らはアメリカや日本と友好関係を維持する一方、ロシアとも付き合っています。日本はいまこそインド外交に学ぶべきです。





戦争を終わらせるために何が必要か

【東郷】最後にウクライナ戦争をどうやって終結させるかについて議論したいと思います。

冒頭で述べたように、欧米にはわずかとはいえ停戦を求める動きがあります。特にヨーロッパは和平を模索しているように見えます。六月一六日にフランスのマクロン大統領とドイツのショルツ首相、イタリアのドラギ首相(当時)がゼレンスキーと会談し、ウクライナがEUの加盟候補国になることを支持しました。これは対ロ強硬路線の延長のように見えますが、実際にウクライナがEUに加盟するにはロシアとの和平が必要なので、そのための布石を打ったとの見方があります。

しかし、ウクライナへの武器提供の流れが止まったわけではありません。六月一五日にはアメリカ主導でウクライナへの軍事支援について話し合う会合が開催され、NATO加盟国などおよそ五〇カ国が参加しました。六月一七日にはイギリスのジョンソン首相(当時)がゼレンスキーと会談し、武器の提供や、イギリスがウクライナ兵に軍事訓練することを提案しています。やはりアングロサクソンは戦争をやめるつもりはないようです。

事態打開のカギを握るのはやはりバイデン大統領

【東郷】ミアシャイマーは六月一六日に欧州大学院(EUI)で講演し、「ウクライナ戦争は多重的惨事であり、予見できる将来、状況はさらに悪化する」と述べています。この見方は正しいと思います。

実際、10月8日にはロシア本土とクリミアを結ぶクリミア大橋が爆破されました。また、ウクライナは、リトアニアが自国の領土を通ってロシアが制裁対象の物資をカリーニングラードに輸送することを禁じました。米ロの政治に影響力を持つドミトリー・サイムズは六月二一日にアメリカの雑誌『ナショナル・インタレスト』で、これは一九四八年にソ連が西ベルリンと西ドイツをつなぐすべての陸上交通を遮断したことに似ているとして、プーチンは当時のアメリカと同じように激しい反応に出るだろうと強く警告しています。

事態打開のカギを握るのは、やはりバイデンです。バイデンがゼレンスキーに「これ以上戦争を続け、被害を拡大してはならない。アメリカの武器援助には限界がある。失われていくウクライナ人の命のことを考え、どこまで領土を保全すべきか見極めてほしい」といわなければなりません。もしゼレンスキーが自ら停戦を決断すれば、そのとき彼は本当に偉大な大統領になると思います。バイデンとゼレンスキーにそこまで踏み込む勇気がないとすれば、戦争は拡大され、無数の命が失われることになります。暗澹たる思いです。

3国がそれぞれ相手に譲る姿勢を持たなければ

【東郷】かつて日本が戦争終結にあたって連合国からポツダム宣言を提示されたときも、大変な苦労がありました。日本は国体の護持、すなわち皇室の安泰が棄損されないことを条件にポツダム宣言を受諾すると連合国に伝えます。これに対して、連合国側は「日本国の最終的な政治形態は日本国国民の自由に表明する意思によって決定する」と回答しました。そこで日本は、日本国民が自由に意思表明をすれば必ず国体の護持を願うはずだと考え、ポツダム宣言受諾を決定したのです。


東郷和彦『プーチンvs.バイデン ウクライナ戦争の危機 手遅れになる前に』(K&Kプレス)

もしこのとき連合国が皇室の廃止を通告していたら、日本は戦争を継続していたと思います。アメリカもそれがわかっていたから、日本に対して譲歩し、日本が何とか受け入れられるような条件を提示したのです。

自分の主張を一〇〇%相手に飲ませようとするのは、外交ではありません。アメリカとウクライナ、そしてロシアがそれぞれ相手に譲る姿勢を持つことが必須です。

【中島】山本七平は『「空気」の研究』で、日本が無謀な戦争に突入した原因を「空気の支配」に見出しました。「戦争するのが当然だ」という空気がつくられた結果、いかに非合理的な決定がなされても、「それはおかしい」と口にすることができなくなってしまったのです。

現在のようにロシアを打ち負かすべきだという空気が支配的な中で、ロシアとの停戦交渉に乗り出すのは非常に大変です。しかし、これ以上犠牲を増やさないためにも、停戦が必要であることは間違いありません。私も友人や先輩との良好な関係を失う覚悟で、停戦を訴えていきたいと思います。

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東郷 和彦(とうごう・かずひこ)
静岡県立大学グローバル地域センター客員教授
1945年生まれ。1968年東京大学教養学部卒業後、外務省に入省。条約局長、欧亜局長、駐オランダ大使を経て2002年に退官。2010年から2020年3月まで京都産業大学教授、世界問題研究所長。著書に『歴史と 外交 靖国・アジア・東京裁判』(講談社現代新書)などがある。
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中島 岳志(なかじま・たけし)
東京工業大学教授
1975年、大阪生まれ。大阪外国語大学でヒンディー語を専攻。京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科でインド政治を研究し、現在、東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教授。2002年に『ヒンドゥー・ナショナリズム』(中公新書ラクレ)を出版。また、近代における日本とアジアの関わりを研究し、2005年『中村屋のボース』(白水社)を出版。大仏次郎論壇賞、アジア太平洋賞大賞を受賞。著書に『ナショナリズムと宗教』