2015/12/13
「2020 The New Earth A travel report-はじめに」の続き…
1.浜辺の出来事6月のある日、僕たちは猛暑の中にいた。
焼け付くような日射しだったが、僕は数人の友人と海にいたため、暑さは気にならなかった。
むしろ、その暑さが、僕らが度々海水に身を浸し、自由な時間を楽しむよう誘ってくれた。
ストレスのない休日。
世界はOKに見えたし、それ以外の見方をすることに何の興味もなかった。
友人たちの方に目をやると、彼らは水の中で、見るからに楽しげに遊んでいた。
「人生は素晴らしい!」 それからひそかに思った。
「なぜ、いつもこんな風じゃ ないのだろう?」
僕は目を閉じて背を反らせた。
「太陽よ照りつけておくれ。燦々と頼むよ!」 しばらくして目を開けた。
僕の体を優しくなでてくれる涼やかな風に、僕は微笑 んでいた。
体を起こすと軽く目眩がした。
あったはずの水筒がない。
僕のバッグ もだ! それから友人たちもいなくなっていることに気付いた。
「大した冗談だな」そう思って立ち上がり、あたりを見回すと、友人どころか、誰もビーチにいないことがだんだんわかってきた。
僕たちは、このビーチが旅行者に知られていないから気に入っていたのだが、それでも奇妙なことだ。
30分前にバナナの皮を捨てたゴミ箱もなくなっている。
僕の周りは緑色だらけになっていた!僕は夢を見ているのか?これは現実か?
太陽は、先ほどと同じくやはり照りつけているし、海もそこにある。
泳ぐために海水に入った。
少しの間混乱を忘れたいという思いに駆られたのだ。
ところが、海の中から浜辺や島を見て、僕はショックを受けた。
僕はどこにいるのだろう??山々の稜線は確認できるが、以前とはまったく違って見えるのだ。
いつもの、乾ききったような夏の景色が、今はすべて緑色なのだ。
その島に何世紀も無かったはずの森が見える。
僕は過去にいるの?タイムトラベルしたのだろうか?夢に違いない。でも、何もかもあまりにも現実的だ!
僕はゆっくりと泳いで浜辺に戻った。
水は腰の高さしかなかったが、砂が僕のお腹をくすぐるまで、泳いだ。
僕はそこでワニのように横たわり、動かないまま、辺りを目で窺っていた。
自分が何を探しているのかさえわからない。
何か、何か あるはずだ。僕が今見ているものに説明がつくものが。
それは僕の混乱した頭をすっきりさせてくれるだろう。
気分が悪いわけでも、怖いわけでもない。
僕の感 覚は完全に研ぎ澄まされている。
僕はゆっくり立ち上がり、僕がタオルを置いた場所に歩いて行く。
僕は用心しながらそれを拾い上げる。
何かが起きてくれることを期待しながら。
けれども何も起こらない。
いつもタオルが拾われるときのようにタオルは拾われた。
僕はタオルを肩に掛け、駐車場に歩いて行く。
だんだん、これが悪ふざけじゃないことがわかってきたが、それでもそこに友人たちがいる ことを願った。
そこに駐車場がないことを僕にはなかなか受け入れられなかった。
その場所はあるのだが、植物が生い茂っており、その中央には焚き火台がある。
そばに行って灰に指を突っ込むと火傷した。
ついさっきまで誰かがここにいたに 違いない。
燃え殻がまだ赤い。
「こんにちは?誰かここにいますか?コーンーニーチーワー!」ためらいながら声をかけてから、今度は精一杯声を張り上げる。
「コーーーンーーーニーーー チーーーワーーー!!!」僕の声に驚いた鳥が、木々の間から数羽飛び立っただ けだ。
「ここで何が起きているのだろう?」声に出して自分に聞いてみる。
する と、僕の質問に答えるように、カモメが頭上でうるさく鳴いた。
まるで僕の知らない何かを知っているかのように。
見上げると、カモメが島の中心に飛んで行くのが見えた。
何の考えもないまま、足が勝手に歩き始め、僕はカモメを追う。
カモメが視界から消え、僕は駐車場から通り道に出る。
1時間前に通った道も、やり前と違っている。
同じ道だが、僕の周りの何もかもが緑に染まっているのだ。
数百メートル歩いてから気付いたのだが、ただ緑が濃くなっているだけではなく、周りの植物がすべて実をつけている。
熟した果実、未熟な果実がたくさん実っていて、どれもみんな食べられるものだ! 僕は、ブラックベリーの茂みのところで立ち止まった。
よく熟れた果実がたわわに実っている。
その藪の中央から、イチジクの木が突き出ている。
僕は喉が渇いていたのを思い出し、水筒もなくしていたので、いくつかつまんで食べた。
ああ、なんてうまいんだ!ジュースが僕の喉をなだめるように下りていく。
少しの間、僕は他のことを忘れていられた。
イチジクがこんなにジューシーだとは知らなかった。
イチジクは甘くてジューシーだ。
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